
芸術家


親からもらった立派な体、というけど、じつは親からもらっているのは運の方かもしれない。運が脊髄のように芯としてあって、人間の人生というのはその運命の芯の回りにまつわる蛋白質、あるいは脂肪質、悪くいうと贅肉みたいなものなのだろうか

運命に耐えているとき、そこに真理が見える

芸術は、意識と無意識の融合である

釣りをやる人には、釣れそうなところがわかるそうなんですね。私たちの路上観察も同じような感じで、ありそうなところっていうのが、何となく雰囲気でわかるんですね。あまりピカピカの出来たての街だと、他の要素が入り込む要素がないので、妙なものを発見することが少ないんです。だいぶ時間がたって、壊れたり色々用途が変更になったり、何だかんだと生活にもまれたところで、見る人が見れば妙なものになる。そういうところがすごく面白いところなんですね

いつでも大空が、自然の果てしないものが私を引きつけ、喜びをもって眺める機会を私に与えてくれる

大切なことは、熱狂的状況をつくり出すことだ

私たちは気が付かないものが道端に隠れているという感覚にわくわくしちゃって、それを写真で記録することになるんですが…。トマソンが一番わかりやすい例です

術は日々の生活の埃(ほこり)を、魂から洗い流してくれる

ゆっくり急げ。美よりも速く走れ

普段は用途だけで見ているからわかんないんだけど、そのものだけをいきなり切り取って見たら、結構すごいものがいっぱいあります

予感というのも、努力の重なりの上に出来る、透明な上澄みのような感覚だと思う

運を信じるしかない。そうでなければ、気にくわない人たちの成功をどう説明すればいいのだ

昔の夢によりかかったり、くよくよすることは、現在を侮辱し、おのれを貧困化することにしかならない

運命は、むしろ降ってきたものを遊んだ方がいいのだろう。自分で選ぶとなれば運命として遊べないが、上から下りてくる運命は、むしろそれ自体を遊べる。自決できる世界は考えたら自分の範囲の狭いものだが、突然やってくる他からの運命の世界は自分よりも広い。どうも運命を遊ぶ気持ちが、他力思想の自在さに繋がっていくような気がする

もし私が犬よりも猫が好きだというのなら、それは警察猫というものがいないからである

愛をうまく告白しようとか、自分の気持ちを言葉で訴えようなんて、構える必要はない。きみの体全体が愛の告白なのだ

これを描いたのはあなたですか?いや、違う。きみたちだ

『自分の謎』で言っているような、自分への不思議な感覚というのはみんなもっているはずだけど、ほかの遊びに忙しくなって、どんどん忘れていっちゃう。でもその感覚ってどこかには残ってるんですね

本物の涙は、悲しい一ページからではなく、見事に置かれた言葉の奇跡から引き出される

絵の玄人なんていうものは、絵描きに対してロクなアドバイスをしない

私が死んだら、まるで船が遭難するようなものだな。大きな船が沈むと、その近くにいる人はみな、渦に巻き込まれてしまうんだ

芸術は醜いものを生み出すが、しばしばそれは時とともに美しくなる。一方、流行は美しいものを生み出すが、それは常に時とともに醜くなる

彫刻に独創はいらない。生命がいる

仕事は人間に必要だ。だから人は目覚まし時計を発明した

悪魔は悪しか行なうことができないゆえに純粋である

明日に引き伸ばせば、それは死んでしまう

百の欠点を無くしている暇があるなら、一つの長所を伸した方がいい

私はドラッグをしない。私自身がドラッグだ

与えようとばかりして、貰おうとしなかった。なんと愚かな、間違った、誇張された、高慢な、短気な恋愛ではなかったか。ただ相手に与えるだけではいけない。相手からも貰わなくては

下手のほうがいいんだ。笑い出すほど不器用だったら、それはかえって楽しいじゃないか

自分の写真に、ほんのちょっと言葉をつけたいと思っていて…。はじめは簡単だと思って書いていたんですけど、あくる日にそれを見直してみたら、全然ダメで驚いたんです

マンホールをずっと撮っている林丈二さんも、オートになってから奥さんに「ちょっと、あなたの写真、最近、あんまりよくない」って言われたらしいです。どっかに出ちゃうんですね。何でしょうね。自覚して使えばいいんだけど、カメラの機能に寄りかかって撮っちゃうとダメなんでしょうね。何にでもそういうことはいえますね

私は仕事をしているとくつろげる。何もしていなかったり、訪問客の相手をしていたりすると疲れる

自分が何をやるかさえ確かだったら、少しぐらい待ってもなんでもない

自分の強さを実感している人は、謙虚になる

人の本当の仕事は30歳になってから始まる

経験を賢く活かすならば、何事も時間の無駄にはならない

人生はキミ自身が決意し、貫くしかないんだよ

詩人は未来を回想する

友達に好かれようなどと思わず、友達から孤立してもいいと腹をきめて、自分を貫いていけば、本当の意味でみんなに喜ばれる人間になれる

私は子供のときに自転車に乗ったことのない唯一の男である。描くことにしか興味がなかった

フィディアスとミケランジェロの前には平伏せよ

画家とは売れるものを描く人のことで、アーティストとは描くものが売れる人のことをいう

ようやく何かわかりかけてきたような気がする。私はまだ、進歩している

いかなる革命も、3日目から堕落が始まる
