「Wichita Lineman(ウィチタ・ラインマン)」は、1968年にリリースされたグレン・キャンベルの代表曲であり、アメリカン・ポップス史に残る名曲です。作詞作曲はジミー・ウェッブで、キャンベル自身がアルバム『Wichita Lineman』の中心曲として録音しました。穏やかで広がりのあるメロディと、孤独に滲む情感が見事に調和したこの曲は、リリース後すぐに全米チャート3位、カントリーチャートでは1位を記録しています。

歌詞は、カンザス州ウィチタ近郊で電話線の保守を行う“ラインマン(電線技師)”の視点で描かれます。彼は広大な平原の中で孤独に働きながら、愛する人を想い続けます。ウェッブはこの曲を「アメリカの地方に生きる労働者の静かな詩」として構想し、キャンベルの温かくも切ないボーカルがその物語に命を吹き込みました。

特徴的なのは、オーケストラとスティールギターが織りなす柔らかなサウンド。特にストリングスの浮遊感が、果てしない空と風景を思わせ、聴く者を物語の中へ引き込みます。わずか3分弱の曲ながら、そこに描かれる情景は映画のように深く、静かなロマンをたたえています。

「Wichita Lineman」は今日でも“完璧なポップソング”の一例として引用され、ローリング・ストーン誌の「史上最高の曲500」にも選ばれています。孤独、労働、そして愛という普遍的なテーマを、わずかな言葉と音で描き切ったこの曲は、アメリカン・ソングライティングの到達点のひとつといえるでしょう。

Wichita Lineman/Glen Campbell 歌詞和訳と意味

[Verse 1]
I am a lineman for the county
俺はこの郡の電線工
And I drive the main road
幹線道路をひた走る
Searchin’ in the sun for another overload
灼けつく陽の下で 断線を探している

[Chorus]
I hear you singing in the wire
電線の音に お前の歌声が聞こえる
I can hear you through the whine
風の唸りの向こうから お前の声が届く
And the Wichita lineman
そしてウィチタの電線工は
Is still on the line
今もまだ線の上にいる

[Instrumental Break]

[Verse 2]
I know I need a small vacation
少し休みが必要なのは分かってる
But it don’t look like rain
だけど雨の気配はない
And if it snows that stretch down south
もし南の道に雪が降れば
Won’t ever stand the strain
きっと線はその重みに耐えられない

[Chorus]
And I need you more than want you
お前を欲する以上に お前が必要なんだ
And I want you for all time
そして永遠にお前を想っている
And the Wichita lineman
ウィチタの電線工は
Is still on the line
今もまだ線の上にいる

[Chorus]
And I need you more than want you
お前を欲する以上に お前が必要なんだ
And I want you for all time
そして永遠にお前を想っている
And the Wichita lineman
ウィチタの電線工は
Is still on the line
今もまだ線の上にいる

曲名Wichita Lineman
(ウィチタ・ラインマン)
アーティスト名Glen Campbell
(グレン・キャンベル)
収録アルバムWichita Lineman
リリース日1968年 10月26日(シングル)
1968年 11月4日(アルバム)