エアロスミスの「Janie’s Got a Gun」は、1989年にリリースされたアルバム『Pump』に収録され、社会的なメッセージ性を持つ楽曲として大きな注目を集めました。翌年にはシングルとしても発表され、全米ビルボード・ホット100で4位を記録。グラミー賞では「最優秀ロック・パフォーマンス(デュオまたはグループ)」を受賞し、エアロスミスにとってキャリアの中でも特に意義深い一曲となりました。
歌詞が描くのは、ジェイニーという少女が虐待を受けた末に銃を手に取り、加害者に復讐するという衝撃的な物語です。スティーヴン・タイラーは当時、児童虐待や銃社会の問題に強い関心を持っており、それを楽曲に昇華させました。「Janie’s Got a Gun」は単なるロックソングではなく、聴く人に社会問題を考えさせる力を持った作品なのです。
サウンド面では、エアロスミスらしい骨太のロックに加え、ドラマチックで緊張感のあるアレンジが特徴的です。イントロの印象的なリズムと重厚なギターリフが物語の緊迫感を表現し、タイラーの力強くも切実な歌声が聴き手の胸に迫ります。ハードロックバンドでありながら、社会派なテーマを音楽的にここまでドラマティックに描いた点は、エアロスミスの表現力の広さを示しています。
ミュージックビデオも大きな話題になりました。監督は「セブン」などで知られるデヴィッド・フィンチャーが担当し、当時としては異例のシネマティックな映像美で楽曲の世界観を描きました。映像の中でも虐待や復讐といったテーマが強烈に表現され、MTVでもヘビーローテーションされましたが、その過激さから一部の局では放送規制を受けたこともあります。
「Janie’s Got a Gun」は、エアロスミスのヒット曲の中でも一線を画す存在です。愛や欲望を歌うロックが多い中で、現実の社会問題を直視し、音楽を通して問題提起を行った作品はそう多くありません。聴くだけで楽しめる曲でありながら、同時に重たいテーマを心に刻ませるこの一曲は、彼らのキャリアにおいても特別な意味を持つと言えるでしょう。
Janie’s Got a Gun/Aerosmith 歌詞和訳と意味
[Verse 1]
Dum, dum, dum, honey, what have you done?
ダン、ダン、ダン…なあ、君は何をした?
Dum, dum, dum, it’s the sound of my gun
ダン、ダン、ダン…これは俺の銃の音
Dum, dum, dum, honey, what have you done?
ダン、ダン、ダン…なあ、君は何をした?
Dum, dum, dum, it’s the sound
ダン、ダン、ダン…それは
Nah, nah, nah, nah, nah, nah
Nah, nah, nah, nah, nah, nah
[Chorus 1]
Janie got a gun
ジェイニーが銃を手に入れた
Janie got a gun
ジェイニーが銃を持ったんだ
Whole world’s come undone
世界が音を立てて崩れていく
From lookin’ straight at the sun
太陽を真っ直ぐ見つめすぎてしまったように
What did her daddy do?
彼女の父親はいったい何をしたんだ?
What did he put you through?
どんな地獄を君に味わわせたんだ?
[Verse 2]
They said when Janie was arrested
ジェイニーが逮捕されたとき
They found him underneath a train
父親は列車の下で見つかったという
But, man, he had it comin’
でもな、当然の報いだった
Now that Janie’s got a gun
ジェイニーが銃を手にしたからには
She ain’t never gonna be the same
もう二度と元の彼女には戻らない
[Chorus 2]
Janie got a gun
ジェイニーが銃を手にした
Janie got a gun
ジェイニーが銃を持ったんだ
Her dog day’s just begun
彼女の地獄の日々は、まだ始まったばかり
Now everybody is on the run
今や誰もが逃げ惑っている
Tell me now it’s untrue
どうか嘘だと言ってくれ
What did her daddy do?
彼女の父親はいったい何をしたんだ?
He jacked a little bitty baby
小さな子どもに手を出した
The man has got to be insane
あの男は狂っていたに違いない
They say the spell that he was under
やつは呪縛に取り憑かれていたんだと人は言う
The lightning and the thunder
稲妻と雷鳴のように
Knew that someone had to stop the rain
誰かがその雨を止めなければならなかった
[Chorus 3]
Run away, run away from the pain, yeah, yeah yeah yeah
逃げろ、この痛みから逃げるんだ
Run away, run away from the pain, yeah yeah
走れ、この苦しみから逃げ出せ
Yeah yeah yeah yeah yeah
Run away, run away, run, run away
逃げろ、走れ、どこまでも逃げ出せ
[Guitar Solo]
[Chorus 2]
Janie got a gun
ジェイニーが銃を手にした
Janie’s got a gun
ジェイニーが銃を持ったんだ
Her dog day’s just begun
彼女の長い苦しみの日々はまだ始まったばかり
Now everybody is on the run
そして誰もが逃げ惑っている
[Verse 2]
What did her daddy do?
彼女の父親はいったい何をしたんだ?
It’s Janie’s last I.O.U
これはジェイニーの最後の清算だ
She had to take him down easy and put a bullet in his brain
彼女はためらいながらも、父親の頭に引き金を引いた
She said, “‘Cause nobody believes me. The man was such a sleeze
「誰も信じてくれなかったのよ。あの男は最低だった」
He ain’t never gonna be the same”
彼はもう二度と同じ人間には戻れない
[Chorus 3]
Run away, run away from the pain, yeah, yeah
逃げろ、この痛みから逃げるんだ
Yeah yeah yeah
Run away, run away from the pain, yeah yeah
走れ、この苦しみから逃げ出せ
Yeah yeah yeah yeah yeah
Run away, run away, run, run away
逃げろ、走れ、どこまでも逃げ出せ
[Chorus 2]
Janie’s got a gun
ジェイニーが銃を手にした
Janie got a gun
ジェイニーが銃を持ったんだ
Janie’s got a gun
ジェイニーが銃を手にした
Now everybody is on the run
今や誰もが逃げ惑っている
[Outro]
Janie got a gun
ジェイニーが銃を手にした
Her dog day’s just begun
彼女の苦しみの日々はまだ始まったばかり
Now everybody is on the run (Honey, honey, what’s the problem?)
そして誰もが逃げ出している(ねえ、何があったんだ?)
Because Janie got a gun (Tell me it ain’t right)
ジェイニーが銃を手にしたからだ(こんなの間違ってると言ってくれ)
Janie got a gun (Was it Daddy’s cradle robbing that)
ジェイニーが銃を持ったんだ(父親の卑劣な仕打ちが)
Her dog day’s just begun (Made you scream at night?)
彼女の苦しみの日々を始めた(夜な夜な君を叫ばせたのか?)
Now everybody is on the run
今や誰もが逃げ惑っている
Janie got a gun
ジェイニーが銃を手にした
Janie got a gun
ジェイニーが銃を持ったんだ
Her dog day’s just begun
彼女の苦しみの日々は、まだ始まったばかり
Now everybody is on the run
そして誰もが逃げ惑っている
曲名 | Janie’s Got a Gun (ジェイニーズ・ガット・ア・ガン) |
アーティスト名 | Aerosmith (エアロスミス) |
収録アルバム | Pump |
リリース日 | 1989年 11月8日(シングル) 1989年 9月12日(アルバム) |